52歳で、
未経験の仕事に転職しました。
正直に言うと、
最初はかなりきつかったです。
想像以上でした。
私は30年間、
教員をやってきました。
長く同じ仕事をしていると、
自分では気づかないうちに、
「できて当たり前」
の感覚が身についています。
でも、
未経験の職場に入ると、
それが全部なくなる。
新人です。
しかも56歳。
これが、
思っていた以上に精神的にきつかった。
最初に絶望したのは、
「覚えられない」
ことでした。
仕事の流れ。
専門用語。
機械操作。
接客の順番。
料金体系。
確認事項。
若い頃なら、
数回で覚えられたことが、
頭に残らない。
しかも、
周囲は普通にできている。
これがかなり苦しい。
自分だけ、
時間が止まったような感覚になるんです。
さらにきつかったのは、
“聞きづらさ”
でした。
50代になると、
「こんなことも分からないのか」
と思われるのが怖くなる。
だから、
質問するのにもエネルギーがいる。
でも実際は、
聞かなければもっと迷惑をかける。
この葛藤が、
毎日続きました。
そして、
もう一つつらかったのが、
プライドでした。
30年間、
教員として働いてきた。
それなりに経験も積んできた。
でも、
新しい職場では、
それはほとんど通用しません。
新人だからです。
年下の人に教わる。
注意される。
失敗する。
これは、
頭では分かっていても、
心が追いつかない。
私は最初、
かなり落ち込みました。
「自分はこんなに仕事ができなかったのか」
そう思った日もあります。
でも、
今振り返ると、
あの絶望は必要だった気もしています。
なぜなら、
私は長い間、
“できる側”
として生きてきたから。
でも、
新人になると、
世界の見え方が変わる。
仕事を覚えられない人の不安。
怒られる怖さ。
孤独感。
置いていかれる感覚。
私は56歳で、
初めてそれをリアルに知りました。
そして、
少しだけ、
人に優しくなれた気がします。
もちろん、
今でも失敗はあります。
覚えるのも遅い。
疲れも抜けにくい。
若い頃みたいにはいきません。
でも、
一つだけ分かったことがあります。
それは、
「人は、何歳でも慣れる」
ということです。
最初は地獄みたいだった仕事も、
少しずつ流れが見えてくる。
昨日より、
ほんの少しだけ動けるようになる。
その積み重ねで、
人は前に進める。
50代の転職は、
確かに甘くありません。
正直、
厳しい。
でも、
“終わり”
ではありません。
私は今も、
人生を立て直している途中です。
焦りもあります。
不安もあります。
それでも、
56歳で新人になった経験は、
私の世界を少し変えました。
もし今、
新しい環境で苦しんでいる人がいたら、
伝えたいです。
最初に絶望するのは、
あなただけではありません。
むしろ、
真面目な人ほど、
最初に苦しみます。
だから、
まずは今日一日を越える。
それで十分です。
人生は、何歳からでも立て直せる。何度でも立て直せる。
