56歳で新人になるなんて、
正直、
昔は想像もしていませんでした。
新人といえば、
20代。
怒られながら覚えるもの。
年上に教わるもの。
どこかで、
そんなイメージを持っていました。
でも今、
僕は56歳で新人をやっています。
最初は、
かなりキツかったです。
覚えられない。
反応が遅い。
専門用語が分からない。
年下の先輩に教わる。
ミスすると、
自分でも落ち込む。
しかも、
周囲に気を遣う。
「年上だからやりづらいだろうな」
とか、
「こんな歳で迷惑かけてるな」
とか、
余計なことまで考えてしまう。
若い頃の新人とは、
また違う疲れ方でした。
でも、
56歳で新人になったからこそ、
分かったこともあります。
それは、
人って、
余裕がなくなると、
本当に優しくできなくなるということです。
これは、
若手を責めたいわけじゃありません。
むしろ逆です。
みんな、
ギリギリなんですよね。
教える側も、
仕事を抱えている。
自分のことで精一杯。
だから、
丁寧に教えたくても、
余裕がない。
昔、
教員をやっていた頃、
僕も同じだったかもしれません。
忙しい時、
余裕のない同僚に、
冷たくしてしまったことも、
きっとあったと思います。
56歳で新人になって、
初めて、
「教わる側」の気持ちが、
本当に分かった気がしました。
あと、
もう一つ。
若い頃より、
「できない自分」
を受け入れるのに、
時間がかかるということ。
20代なら、
「新人だから仕方ない」
で済む。
でも50代になると、
変なプライドもある。
「これくらいできないと」
と思ってしまう。
だから、
余計に苦しくなる。
でも最近、
少し思うんです。
56歳で新人をやるって、
恥ずかしいことじゃない。
むしろ、
かなり勇気がいることなんじゃないかって。
慣れた世界を離れて、
またゼロから覚える。
年下に頭を下げる。
失敗する。
怒られる。
それでも、
生活のために、
家族のために、
前へ進く。
これは、
若い頃には分からなかった強さかもしれません。
もちろん、
今でも毎日しんどいです。
夜勤明けなんて、
頭が回らない日もあります。
「ああ、向いてないな」
と思う日もある。
でも、
56歳で新人になったからこそ、
人の痛みや、
余裕のなさや、
不器用さを、
前より少し理解できるようになった気がします。
人生って、
歳を取るほど、
楽になるわけじゃないんですね。
でも、
歳を取ったからこそ、
見える景色もある。
56歳で新人になって、
それだけは、
少し分かった気がしています。
人生は何歳からでも立て直せる。
