先日、ある問い合わせ対応をしていて思いました。
「なんで最後に受けた人が全部やることになるんだろう」
と。
調べる。
電話する。
確認する。
別の部署に聞く。
また確認する。
お客様へ連絡する。
気がつけば、最初から最後まで私が対応していました。
しかも、その案件は私が作った問題ではありません。
誰かが悪いわけでもありません。
それなのに、なぜか最後に対応した人だけが疲れる。
働いている人なら、一度くらい経験があるのではないでしょうか。
私はホテルのフロントで働いています。
フロントはお客様にとって最後の窓口です。
予約のこと。
施設のこと。
忘れ物のこと。
料金のこと。
さまざまな問い合わせが集まります。
もちろん、そのすべてがフロントの担当というわけではありません。
しかし、お客様から見ればそんなことは関係ありません。
困ったことがあればフロントへ相談する。
それは当然のことです。
問題はその先でした。
問い合わせを解決しようとすると、
「それは別の部署です」
「こちらでは分かりません」
「担当に確認してください」
ということが起きる。
そして気がつくと、問い合わせだけが社内を旅しているのです。
まるで観光旅行です。
部署Aへ行き、
部署Bへ行き、
部署Cへ行き、
最終的にフロントへ戻ってくる。
しかも不思議なことに、最後に持っていた人が対応することになる。
こういう話をすると、
「その部署が悪い」
「上司が悪い」
「会社が悪い」
という話になりがちです。
以前の私もそうでした。
正直に言えば、
「なんで私が全部やらなきゃいけないんだ」
と思うこともありました。
でも最近、少し考え方が変わってきました。
本当に問題なのは人なのでしょうか。
私は違うと思うのです。
問題は人ではありません。
仕組みです。
誰が悪いかではなく、
誰が対応するかが決まっていない。
そこが問題なのです。
責任の流れが見えない。
引き継ぎルールがない。
情報共有が足りない。
だから最後の人に全部集まる。
そして最後の人だけが疲れる。
これはホテルだけの話ではありません。
どこの職場にもあります。
会社でもあります。
学校でもあります。
役所でもあります。
介護の現場でもあるでしょう。
営業職でもあるでしょう。
最後に電話を取った人。
最後にメールを見た人。
最後にその場にいた人。
なぜかその人が全部背負う。
そんなことは珍しくありません。
そして多くの人は、その状況を自分の能力不足だと思ってしまいます。
私もそうでした。
もっと仕事ができれば。
もっと要領が良ければ。
もっと知識があれば。
そう考えていました。
でも違ったのです。
疲れていた原因は仕事量だけではありませんでした。
仕組みがなかったのです。
昨日、フロントチームで情報共有をしました。
どんな問い合わせが多いのか。
どこでミスが起きやすいのか。
誰に確認すれば早いのか。
どんな手順なら抜け漏れを防げるのか。
そんなことをみんなで話し合いました。
別に大げさな会議ではありません。
数人で集まって話しただけです。
でも私はその時間がとても大事だと思いました。
なぜなら、人を責める時間ではなかったからです。
「誰が悪い」
ではなく、
「次はどうする」
を話していたからです。
人は必ずミスをします。
私もします。
どんなベテランでもします。
だから人を責めても解決しません。
でも仕組みは改善できます。
チェックリストを作る。
メモを残す。
情報を共有する。
確認手順を決める。
そういう小さな工夫はできます。
そして不思議なことに、仕組みが整うと人間関係まで良くなります。
「あの人が悪い」
が減るからです。
代わりに、
「次はこうしよう」
が増える。
職場の空気も少しずつ変わっていきます。
私はこういう経験をすると、人生も同じだなと思います。
振り返れば、私は長い間、自分を責めて生きてきました。
教員時代もそうでした。
懲戒免職になった後もそうでした。
転職活動中もそうでした。
何かうまくいかないことがあると、
自分が悪い。
自分の努力が足りない。
もっと頑張らなければならない。
そう考えていました。
でも今なら少し分かります。
必要だったのは根性だけではありませんでした。
仕組みだったのです。
やることを書き出す。
相談する。
情報を集める。
チェックリストを作る。
助けを求める。
自分を守る工夫をする。
そういう仕組みが、自分を支えてくれました。
会社は必ずしも守ってくれません。
組織も完璧ではありません。
人も間違えます。
だからこそ、自分を守るための仕組みが必要なのだと思います。
昨日のフロントチームの情報共有で、私は改めてそのことを感じました。
疲れていた原因は、自分がダメだったからではありませんでした。
一人で抱え込む構造だったのです。
もし今、仕事で疲れている人がいたら、一度だけ考えてみてください。
本当にあなたの能力の問題でしょうか。
もしかしたら、仕組みの問題かもしれません。
もしそうなら、自分を責める前にできることがあります。
小さな仕組みを作ることです。
その方が、自分にも周りにも優しい。
私はそう思います。
人生は何歳でも建て直せる。
何度でも建て直せる。
