「あなたが一番向いているのは、もう二度と戻れない場所です」と言われ続けてきつかった話

転職活動をしていた頃、何気につらかったことがあります。

履歴書を書くことでもありません。

面接でもありません。

転職サイトの適職診断でした。

興味本位でやってみる。

すると結果は毎回ほぼ同じでした。

「教育関係に向いています」

「教職員に適性があります」

「公務員タイプです」

まあ、そうだろうなと思いました。

30年近く教員をやってきたのです。

考え方も行動パターンも、すでにその仕事に合わせて作られています。

適職診断がそう答えるのも無理はありません。

でも、あの頃の私には、その結果が少し苦しかったのです。

なぜなら私は、もう教育の世界には戻れないと分かっていたからです。

懲戒免職という事実は重いものです。

少なくとも教育関係では簡単に消えるものではありません。

だから診断結果を見るたびに思いました。

「そうなんだろうな」

「でも、もう行けないんだよな」

と。

不思議なものです。

人は弱ると、普段は信じないものまで頼りたくなります。

私は占いまで見ていました。

すると占いでも似たようなことが書いてあるのです。

「教育関係が向いています」

「人を育てる仕事が天職です」

「先生タイプです」

もう笑うしかありませんでした。

どこを見ても先生。

どこを見ても教育関係。

でも、その場所には戻れない。

今振り返ると、あの苦しさは少し特殊だった気がします。

能力を否定されたわけではないのです。

むしろ逆でした。

「向いている」

と言われているのです。

なのに行けない。

だから苦しい。

もし、

「あなたには向いていません」

と言われていたら、諦めもついたかもしれません。

でも、

「向いています」

「才能があります」

と言われながら、その道が閉ざされている。

それは思った以上につらいものでした。

当時の私は、

「教員になれない自分」

ばかり見ていました。

しかし今なら分かります。

私は大事なことを見落としていました。

それは、

職業と能力は別物だということです。

教員という仕事は失いました。

でも、

人に説明する力。

相手の変化に気付く力。

物事を整理する力。

人の成長を信じる力。

そうしたものまで失ったわけではありませんでした。

当時はそこが見えていませんでした。

教員になれない。

だから自分には価値がない。

そんな極端な考え方になっていたのです。

でも実際は違いました。

少し目線をずらしてみればよかったのです。

教員という職業ではなく、

教員時代に身につけた能力に目を向ければよかったのです。

今の私はホテルのフロントで働いています。

お客様の話を聞きます。

困りごとを解決します。

相手の立場を考えます。

そしてブログも書いています。

かつての自分のように苦しんでいる人へ向けて言葉を書いています。

振り返ると、不思議です。

教員という仕事は失いました。

でも、

人を助けたい気持ちは残っていました。

人の役に立ちたい気持ちも残っていました。

それどころか、その気持ちは今も変わっていません。

場所が変わっただけでした。

方法が変わっただけでした。

もし今、適職診断の結果を見て落ち込んでいる人がいたら伝えたいことがあります。

適職診断は職業を教えてくれるかもしれません。

でも人生の可能性までは診断してくれません。

向いている仕事に就けないこともあります。

病気。

介護。

倒産。

年齢。

さまざまな事情があります。

でも、その仕事で培った能力まで消えるわけではありません。

向いていた場所を失ったからといって、自分自身まで失われるわけではないのです。

私は遠回りをしました。

たくさん悩みました。

それでも今は思います。

あの頃の自分に声をかけるなら、

「少しだけ目線をずらしてごらん」

と言うでしょう。

あなたが失ったのは職業かもしれない。

でも、あなた自身ではない。

人生は何歳でも建て直せる。

何度でも建て直せる。

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