「なぜ私は中国武術を30年続けているのか」

私は、
中国武術の「形意拳」を、
30年以上続けています。

ここまで続くとは、
正直、
若い頃は思っていませんでした。

最初は単純でした。

強くなりたい。

格好よかった。

中国武術の独特な雰囲気に惹かれた。

入り口は、
たぶん多くの人と同じだったと思います。

でも、
30年も続けていると、
だんだん意味が変わってくるんです。

形意拳は、
中国武術の中でも、
比較的シンプルな拳法だと言われます。

派手な動きより、

  • 立ち方
  • 重心
  • 呼吸
  • 力みを抜くこと
  • 同じ動きの反復

を重視する。

正直、
若い頃は、
この“地味さ”がよく分かりませんでした。

もっと派手な技がやりたかった。

すぐ強くなりたかった。

でも、
年齢を重ねるほど、
逆にこの単純さの意味が分かってきた気がします。

特に、
人生が苦しくなってからです。

50代になって、
仕事も環境も大きく変わりました。

思っていた人生とは、
かなり違う場所へ来た。

不安もありました。

焦りもありました。

「この先どうなるんだろう」

と思った日もあります。

でも、
そんな時でも、
私は形意拳だけはやめませんでした。

疲れていても。

落ち込んでいても。

完全に離れることはなかった。

なぜなんだろうと考えると、
あれは単なる運動ではなかったからだと思います。

例えば、
形意拳では、
「力み」が嫌われます。

力を入れすぎると、
動きが止まる。

呼吸が浅くなる。

身体が固まる。

逆に、
余計な力を抜いた方が、
動きは通る。

これ、
人生にもかなり似ていました。

私は長い間、
かなり力んで生きていた気がします。

真面目に。

期待に応えようとして。

ちゃんとしなければと思って。

でも、
人生は、
力だけでは前へ進まない。

むしろ、
力みすぎると、
どこかで崩れる。

それを、
私は30年かけて少しずつ学んできた気がします。

形意拳には、
「三体式」
という基本姿勢があります。

一見すると、
ただ立っているようにも見える。

でも実際は、
かなり地味で、
かなりきつい。

そして、
ごまかしが効かない。

私はこの感覚が、
人生にも似ていると思っています。

派手なことより、
土台。

一気に変わるより、
毎日少し積み上げる。

50代になると、
そういうことの方が大事になる。

若い頃みたいに、
気合いだけでは続かないからです。

もちろん、
今でも未熟です。

感情的になる日もある。

焦ることもある。

不安になることもある。

でも、
そんな時ほど、
身体を動かす。

呼吸を整える。

すると、
少しだけ頭の中が静かになる。

私は、
「強くなった」
というより、

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“崩れにくくなった”

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のかもしれません。

そして、
これが、
30年続いている理由なんだと思います。

勝つためだけではない。

見せるためでもない。

自分を整えるため。

人生を立て直し続けるため。

形意拳は、
私にとって、
そういう存在になりました。

派手ではありません。

でも、
苦しい時ほど、
長く続けてきたものは、
静かに人を支えてくれる。

私は今、
そう感じています。

人生は、何歳からでも立て直せる。

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