【50代転職 攻略編】第7話 私が6回の転職で気づいた「転職の落とし穴」|50代が会社選びで失敗しないために

このシリーズは、転職活動をしていた「あの頃の私」が、一番知りたかったことをまとめています。

はじめに

「この会社なら、今度こそ大丈夫。」

転職が決まるたび、私はそう思っていました。

30年間勤めた教員を辞めてから約3年半。その間に6回の転職を経験しました。

仕事が決まるたびに肩の荷が下り、「これでようやく落ち着ける」と安心します。

ところが、その安心は長く続きませんでした。

数週間もすると、また求人サイトを開いているのです。

仕事から帰れば求人を見る。

休日も求人を見る。

新着通知が届けば、とりあえず開いてしまう。

「もっと自分に合う職場があるんじゃないか。」

そんな思いが、頭のどこかから消えませんでした。

今振り返ると、不思議だったのは、転職先が変わっても同じことを繰り返していたことです。

高級旅館でも。

営業職でも。

コールセンターでも。

居酒屋でも。

職場は違うのに、求人サイトを見続ける自分だけは変わりませんでした。

ところが、現在勤めているゴルフリゾートのフロントに転職してからは、その習慣がほとんどなくなりました。

もちろん不満はあります。

通勤は遠いですし、勤務時間も決して理想的ではありません。

それでも以前のように、「次の仕事」を探し続けることはなくなりました。

なぜだろう。

そう考え続けて、ようやく一つの答えにたどり着きました。

今日は、その話をしたいと思います。


最初に結論

今回、一番お伝えしたいことがあります。

転職活動で一番怖い落とし穴は、会社選びを間違えることではありません。

心も体も疲れ切った状態で、自分の「耐えられること」と「耐えられないこと」を見失ってしまうことです。

人生が大きく変わる出来事を経験した直後は、自分で思っている以上に心が消耗しています。

それでも生活のために働かなければならない。

だから、

「今の自分なら、これくらい我慢できる。」

そう言い聞かせながら応募先を決めてしまう。

私も、まさにそうでした。

でも、その「我慢できる」という判断は、本来の自分ではなく、追い詰められた自分が出した答えだったのです。


私の実体験

教員を辞めたあとの私は、とにかく生活を立て直すことしか考えられませんでした。

収入は安定せず、将来の見通しも立たない。

心も休まらず、「早く仕事を決めなければ」という焦りばかりがありました。

だから転職先が決まるたびに、「これでようやく安心できる」と思うのです。

けれど、その安心は長続きしません。

また求人サイトを開き始めます。

もっと条件のいい会社があるかもしれない。

もっと自分に合う仕事があるかもしれない。

当時は、会社選びに失敗したからだと思っていました。

でも、何年も経ってから気づいたのです。

会社ばかり見ていて、一番大事なものを見ていませんでした。

自分自身です。


最初に勤めたのは、高級旅館でした。

給与は悪くありません。

接客も好きでした。

それでも続きませんでした。

理由は、自宅を離れて一人暮らしだったからです。

仕事が終わる頃には家族は寝ていて、ビデオ通話をする時間もありません。

休日も生活リズムが違うため、友人ともなかなか予定が合いません。

周りには人がいるのに、心だけが一人取り残されたような感覚でした。

もちろん職場には厳しい指導もありました。

でも、今振り返ると、それ以上につらかったのは「孤独」だったと思います。

私は、孤独な環境では頑張れない人間だったのです。


次に選んだのは営業職でした。

初めての営業でしたが、まったく成果が出なかったわけではありません。

それでも毎日が苦しかった。

営業という仕事そのものを否定するつもりはありません。

ただ、私には合いませんでした。

相手の考えを少しずつ変えながら契約につなげていく仕事に、どうしても気持ちがついていかなかったのです。

教員時代は、子どもたちが自分で考え、自分で成長していく姿を見ることにやりがいを感じていました。

一方で営業では、「契約を取る」という結果が求められます。

その価値観の違いに、私は最後まで馴染めませんでした。

さらに、常に数字がついて回る生活も、自分には大きな負担でした。

そこで初めて気づいたのです。

私は、「ノルマに追われ続ける働き方」は続かない人間なんだ、と。


その後、非常食備蓄支援の仕事に転職しました。

社会に役立つ仕事であることに魅力を感じ、「今度こそ長く働けるかもしれない」と思いました。

実際、仕事内容そのものには納得していました。

それでも続きませんでした。

理由は、やはり数字です。

毎週、毎月の目標。

達成できなければ厳しく詰められる空気。

教員時代なら、もしかすると耐えられたかもしれません。

でも、その頃の私は違いました。

心が疲れ切っていた私は、結果だけを求められ続ける毎日に耐えられなかったのです。

その頃の私は、「どんな仕事がしたいか」を探していたつもりでした。

でも本当は、「どんな環境なら心が壊れずに働けるか」を探すべきだったのです。

この話を読んでくださっているあなたへ

6回の転職を振り返ってみると、ようやく一つの共通点が見えてきました。

私は会社選びに失敗していたのではありません。

自分を知らないまま会社を選んでいたのです。

転職活動になると、多くの人は求人票を見比べます。

年収はどうか。

休日は何日あるか。

福利厚生はどうか。

もちろん、どれも大切です。

でも、私が本当に知るべきだったのは、そこではありませんでした。

「自分は何に耐えられない人間なのか。」

これを知らないまま応募先を決めていたことが、一番の問題だったのです。

旅館では孤独に耐えられませんでした。

営業と非常食備蓄支援の仕事では、数字に追われ続ける毎日に心がすり減っていきました。

コールセンターでは、一方的に苦情を受け続ける仕事が苦痛でした。

居酒屋では、家族と顔を合わせられない生活が続きませんでした。

こうして並べてみると、転職先はバラバラなのに、辞めた理由には共通点があります。

どれも、自分の「耐えられないこと」にぶつかっていたのです。

それなのに、当時の私は応募する前に、そのことを一度も整理していませんでした。

もし、あの頃の自分に一つだけアドバイスできるなら、こう言います。

「会社を探す前に、自分の取扱説明書を作れ。」

それだけです。

難しいものではありません。

紙を一枚用意して、二つのことを書くだけです。

一つは、

「これだけは耐えられないこと」

もう一つは、

「これさえあれば頑張れること」

私なら、耐えられないことには、

・家族とほとんど会えない生活
・数字だけで評価され続ける仕事
・一方的に負の感情を受け続ける環境

と書くでしょう。

逆に、頑張れることには、

・生活できるだけの安定した収入
・家族と毎日少しでも話せる時間
・人の役に立っていると実感できる仕事

と書きます。

実際、今の職場は理想の職場ではありません。

通勤には時間がかかりますし、不満もあります。

それでも続けられているのは、この三つが満たされているからです。

仕事が終わって帰宅すると、妻や子どもたちはまだ起きています。

他愛のない会話をする。

ビデオ通話で笑い合う。

少し休憩して、ブログを書く。

私にとっては、この何気ない時間が、翌日も働こうと思える一番のエネルギーでした。

だから今では、以前のように毎日求人サイトを開くこともなくなりました。

ようやく、自分に合った働き方を見つけられたのだと思っています。

今日やることは一つだけです。

紙でもスマートフォンのメモでも構いません。

今日、書いてみてほしいのは二つだけです。

「自分が耐えられないこと」を三つ。

「これさえあれば頑張れること」を三つ。

それを書いてから、応募したい会社を見直してみてください。

求人票を読む前に、自分の取扱説明書を読む。

その順番に変えるだけで、会社を見る目はきっと変わります。

そして応募ボタンを押す前に、自分へ一つだけ問いかけてみてください。

「それ、本当に耐えられるんかい。」

焦っているときほど、この一言が冷静な判断を取り戻させてくれるはずです。


まとめ

転職活動では、会社を知ることばかりに意識が向きがちです。

私もそうでした。

でも、本当に必要だったのは、自分を知ることでした。

人生の大きな出来事を経験したあとは、自分で思っている以上に心も体も疲れています。

昔なら平気だったことが、今は大きな負担になることもあります。

それは弱くなったからではありません。

今の自分が、それだけ必死に人生を立て直そうとしている証拠です。

だからこそ、「これくらいなら我慢できる」で仕事を選ばないでください。

「この働き方なら続けられる。」

その基準で選んだほうが、結果として遠回りを減らせます。

私が6回の転職を経験して一番伝えたいことは、それでした。


ああ、人生は何度でも立て直せる。

何歳からでも立て直せる。

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