「50代 転職活動編」 第10話 仕事選びの軸が変わった瞬間|条件より違和感を大切にするようになった

転職活動をしていた頃の私は、仕事選びの基準がとても分かりやすいものでした。

年収。

休日。

残業代。

まずはそこでした。

それ以外のことを考える余裕がなかったのです。

懲戒免職になり、収入が途絶えました。

家に帰れば、将来への不安が現実としてそこにありました。

税金の納付書が届く。

生活費の話になる。

妻も不安だったのだと思います。

ある時、

「このままだと家を売らないといけないんじゃない?」

とぽつりと言ったことがありました。

もちろん責めていたわけではありません。

ただ、その言葉は当時の私には強く響きました。

だから私は、とにかく条件を優先して仕事を探していました。

しかし今振り返ると、本当に大切だったのは条件ではありませんでした。

それは「違和感」だったのです。

条件が良ければ何とかなると思っていた

高級旅館を選んだ時もそうでした。

年収。

休日。

残業代。

まずはそこを見ていました。

そしてもう一つ。

面接で経営者が語った、

「日本一を目指している」

という言葉に強く惹かれました。

私はその熱量に魅力を感じました。

しかし働き始めると、少しずつ違和感を覚えるようになります。

確かに素晴らしい会社でした。

ただ、自分が大切にしている価値観とは少し違っていました。

その小さな違和感は、やがて大きくなり、退職という決断につながりました。

当時はまだ気づいていませんでした。

違和感は、心からのサインだったのです。

頑張れば稼げるという言葉に惹かれた

次に挑戦した個人営業もそうでした。

「頑張れば収入は青天井ですよ」

そう言われました。

当時の私には、とても魅力的に聞こえました。

家族を安心させたい。

生活を立て直したい。

その一心だったからです。

しかし実際には、成果を出すために仕事中心の生活になりました。

家族との時間も減りました。

休日も頭の中は仕事のことばかりでした。

もちろん営業という仕事から学んだことはたくさんあります。

それでも、

「この働き方を10年続けたいか」

と聞かれたら答えは違いました。

私は収入を求めていたのに、本当は人生そのものを犠牲にしたかったわけではなかったのです。

条件だけでは人生の柱にならない

法人営業でも同じでした。

災害に強い日本をつくる。

そんな社長の夢に共感しました。

九州中を回り、多くの経営者とも出会いました。

本当に貴重な経験でした。

しかし収入面の課題や転勤の問題もありました。

コールセンターでは生活をつなぐために働きました。

居酒屋副店長では将来の可能性も感じました。

私の経験や強みを高く評価していただきました。

それは本当にありがたいことでした。

しかし帰宅は毎日深夜でした。

心も体も余裕がありませんでした。

ブログを書く気力もない。

新しい挑戦をする余裕もない。

人生を立て直すためのもう一本の柱を育てる余白もありませんでした。

その頃から、はっきりと思うようになりました。

何かが違う。

私はただ生活を維持したいわけではない。

人生を立て直したいのだ。

軸が見えた瞬間

転職を繰り返しながら見えてきたものがありました。

私は人の役に立つことが好きでした。

誰かの成長を支えることが好きでした。

喜んでもらうことにやりがいを感じていました。

教員時代もそうでした。

旅館でも。

営業でも。

接客でも。

形は違っていても、そこだけは共通していました。

そして気づいたのです。

仕事は条件だけで選ぶものではない。

自分の価値観と重なる部分があるかどうか。

そこが長く続けられるかどうかを決めるのだと。

年収は大切です。

休日も大切です。

残業代も大切です。

でも、それだけでは人生の柱にはなりません。

人生の後半戦を支える仕事には、

「自分は何のために働くのか」

という答えも必要だったのです。

この経験から学んだこと

人生が苦しい時ほど、人は条件だけを見てしまいます。

私もそうでした。

収入。

休日。

待遇。

まずはそこに目が向きました。

それ自体は間違いではありません。

生活を守るためには必要なことです。

ただ、それだけで仕事を選ぶと、どこかで苦しくなることがあります。

だから今は、条件を見る時に同時に自分の気持ちも確認するようになりました。

この働き方を続けたいと思えるか。

この会社の考え方に共感できるか。

小さな違和感を無視していないか。

そう考えるようになりました。

条件は大切です。

でも人生を長く支えるのは、数字だけではない。

私は転職を繰り返しながら、そのことを学びました。

今振り返ると見えていること

当時の私は仕事を探しているようでいて、本当は安心を探していました。

だから条件ばかり見ていました。

しかし安心は条件だけでは手に入りませんでした。

働き方。

価値観。

人との関わり方。

そうしたものが少しずつ重なって、ようやく安心につながるのだと思います。

仕事選びの軸が変わったことで、私は初めて未来を考えられるようになりました。

目先の生活だけではなく、

「この先も続けていけるか」

という視点を持てるようになったのです。

あの頃の僕へ

家族を守りたかったんだよね。

だから焦ったんだよね。

年収を見ていたのも、

休日を見ていたのも、

残業代を気にしていたのも、

全部家族を安心させたかったからだ。

だから、その気持ちは間違っていない。

でも一つだけ伝えたい。

違和感を無視し続けないでほしい。

その小さな違和感は、弱さではない。

未来の自分からのメッセージだ。

条件だけでは人生の柱は立たない。

君が本当に大切にしたいものは何か。

それを忘れなければ大丈夫だ。

遠回りしたように見える道も、いつか意味を持つ。

だから焦らなくていい。

一歩ずつでいい。

君の人生は、まだこれからだから。

ああ、人生は、何度でも立て直せる。

何歳からでも立て直せる。

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