50代で転職活動を始めると、不安は思った以上に大きなものです。
これから本当に仕事が見つかるのだろうか。
生活は大丈夫だろうか。
自分はまだ社会で必要とされるのだろうか。
私も毎日のようにそんなことを考えていました。
そして気づけば、転職サイトを開くたびに年収ばかり見ていました。
今振り返ると、私は仕事を探していたというより、不安を打ち消してくれる何かを探していたのかもしれません。
数字へのとらわれ
転職活動を始めた頃の私は、転職サイトを見るたびに年収ばかり見ていました。
仕事内容より先に年収。
勤務地より先に年収。
会社の理念より先に年収。
そんな見方をしていました。
今思えば、かなり偏った見方だったと思います。
でも当時の私は本気でした。
なぜなら、不安だったからです。
教員として長く働いてきた私にとって、民間企業への転職は未知の世界でした。
本当に採用されるのだろうか。
生活していけるのだろうか。
自分は社会で必要とされるのだろうか。
そんな不安が頭の中を占めていました。
だから転職サイトを開くたびに、私は年収の数字を探していました。
年収600万円。
年収700万円。
そんな求人を見ると少し安心しました。
「これだけもらえる仕事があるなら大丈夫かもしれない」
そう思えたからです。
ところが、その安心は長続きしませんでした。
スマホを閉じる。
しばらくするとまた不安になる。
また転職サイトを開く。
また年収を見る。
また不安になる。
気づけば同じことを繰り返していました。
今なら分かります。
私は転職先を探していたのではありません。
安心材料を探していたのです。
実はこれ、転職活動をしている人によくあることではないでしょうか。
転職サイトを見ている人は、必ずしも転職先だけを探しているわけではありません。
「今のままではまずい気がする」
「でも何をしたらいいか分からない」
「自分にも可能性があると信じたい」
そんな気持ちで求人を眺めている人も少なくないと思います。
私もそうでした。
だから応募するより先に求人を見る。
行動するより先に情報を集める。
気づけば何十分も転職サイトを眺めている。
そんな日もありました。
当時は転職活動をしているつもりでした。
でも今振り返ると、不安と付き合っていただけだったのかもしれません。
特に年収という数字は分かりやすい指標です。
高ければ魅力的に見える。
低ければ不安になる。
だからつい目が向いてしまいます。
しかし転職活動を続ける中で、私はあることに気づきました。
年収が高い求人を見ても、人生の不安は消えないということです。
なぜなら、本当に欲しかったのはお金ではなかったからです。
安心でした。
自信でした。
未来への見通しでした。
もし当時の私が宝くじに当たっていたとしても、不安が完全に消えていたとは思えません。
なぜなら、
「これからどう生きるか」
という問題は残るからです。
仕事は単なる収入源ではありません。
毎日の時間そのものです。
どんな人と働くのか。
どんな環境で過ごすのか。
どんな気持ちで朝を迎えるのか。
そういうことの積み重ねです。
ところが当時の私は、その部分が見えていませんでした。
とにかく条件。
とにかく年収。
とにかく数字。
数字の向こうにある生活を想像できていなかったのです。
転職活動が少しずつ前に進み始めたのは、年収以外を見るようになってからでした。
この仕事は続けられそうか。
自分の経験は活かせそうか。
働く人たちの雰囲気はどうだろう。
自分らしく働けるだろうか。
そんな視点を持つようになってから、求人票の見え方が変わりました。
不思議なものです。
同じ求人なのに、見る視点が変わるだけで印象も変わります。
以前なら年収しか見えなかった求人から、仕事内容や働き方が見えるようになりました。
もちろん年収は大切です。
生活のためには必要です。
だから軽視するつもりはありません。
ただ、年収だけを見ていると、自分が本当に求めているものを見失うことがあります。
私は転職活動を通して、そのことを学びました。
この経験から学んだこと
人は不安になると、分かりやすい数字を追いかけたくなるものです。
私にとってはそれが年収でした。
年収が高ければ安心できる。
そう思っていました。
でも実際には、数字だけでは不安は消えませんでした。
なぜなら、不安の正体はお金だけではなかったからです。
自信を失っていたこと。
先が見えなかったこと。
自分の居場所を探していたこと。
本当に向き合うべきものは別にありました。
だから私は、「条件が良い仕事を探す」だけではなく、「どんな働き方なら納得できるか」を考えるようになりました。
それが結果的に、自分に合う仕事を探す第一歩になったように思います。
今振り返ると見えていること
年収ばかり見ていた頃の私は、お金を求めていたようで、実は安心を求めていました。
数字が高ければ不安が消えると思っていたのです。
でも現実は違いました。
不安の正体は、お金だけではありませんでした。
先が見えないこと。
自信を失っていること。
これからの人生をどう生きるか分からないこと。
そうした不安が心の奥にありました。
だから転職活動で本当に必要だったのは、高年収の求人を探すことではなく、自分が何を大切にしたいのかを見つめ直すことだったのだと思います。
あの頃の僕へ
今日も転職サイトを見ているね。
年収の高い求人を見つけては少し安心し、応募条件を見ては落ち込んでいるね。
でも大丈夫。
今の君は怠けているわけじゃない。
逃げているわけでもない。
ただ不安なんだ。
先が見えないだけなんだ。
だから焦らなくていい。
今はまだ、自分が本当に探しているものが見えていないだけだから。
いつか気づく。
君が欲しかったのは高年収の求人だけじゃなかったことに。
安心して生きていける未来だったことに。
その未来は、ちゃんと少しずつ近づいている。
だから今日も一歩でいい。
前を向こう。
ああ、人生は、何度でも立て直せる。
何歳からでも立て直せる。
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