50代で転職活動を始めると、これまで積み上げてきた経験がどれくらい評価されるのか気になるものです。
私もそうでした。
30年以上教員として働いてきたのだから、それなりに評価してもらえるだろう。
正直、そんな気持ちがありました。
しかし転職活動を始めてみると、現実は思っていたものとは少し違っていました。
今回のお話は、私が最初の転職活動で経験した挫折と、その後に気づいたことについてです。
最初の勘違い
転職活動を始めたばかりの頃の私は、自分なりに少し自信を持っていました。
30年以上教員を続けてきた。
学年主任も経験した。
保護者対応もしてきた。
組織運営にも関わってきた。
だから民間企業でも、それなりに評価されるのではないか。
今振り返ると、その考え自体は間違いではありません。
ただ、一つだけ大きな勘違いをしていました。
私は「経験があること」と「転職市場で評価されること」を同じだと思っていたのです。
転職活動を始めると、まず目に入ってきたのはハイクラス転職サイト「ビズリーチ」でした。
年収アップ。
管理職採用。
経験者優遇。
そんな言葉を見るたびに、
「自分にも当てはまるかもしれない」
と思いました。
しかし、結果は「登録さえしてもらえない」というものでした。
体中から血の気が引く思いがしたのを覚えています。
教員という仕事は特殊です。
学校の中では当たり前にやっていることが、実はかなり高度な仕事だったりします。
クラス運営。
保護者対応。
若手指導。
行事運営。
危機管理。
しかし当時の私は、その経験がそのまま民間企業でも評価されると思っていました。
今思えば、それは少し違いました。
実際に応募を始めると、結果は思ったほど甘くありませんでした。
書類選考で落ちる。
連絡すら来ない。
面接まで進まない。
メールを開くたびに期待しては、何も届いていない画面を閉じる。
その繰り返しでした。
最初は理由が分かりませんでした。
なぜだろう。
30年以上働いてきたのに。
これだけ経験してきたのに。
そんな気持ちもありました。
正直に言えば、少し悔しかったです。
長年積み上げてきた経験が評価されていないように感じたからです。
しかし転職活動を続けるうちに、少しずつ見えてきたことがあります。
企業が見ているのは過去の肩書きではない。
その会社で再現できる成果なのだということです。
学校で学年主任だったこと。
部活動を指導していたこと。
保護者対応をしていたこと。
それ自体は間違いなく価値のある経験です。
しかし企業側からすると、
「その経験をうちの会社でどう活かせるのか」
が知りたい。
そこを説明できなければ評価されません。
当時の私は、その変換ができていませんでした。
経験を並べるだけ。
肩書きを並べるだけ。
それでは足りなかったのです。
もちろん落ち込まなかったわけではありません。
「自分は社会で通用しないのではないか」
と思ったこともあります。
特に教員しか経験していない人間にとって、民間企業の世界は想像以上に未知の世界でした。
けれど今なら分かります。
あの時に必要だったのは、自信を失うことではありませんでした。
経験を翻訳することでした。
学校でやってきたことを、企業が理解できる言葉に置き換えること。
その作業が必要だったのです。
もしあの頃の私が、
「なぜ落ちたんだろう」
だけで終わらず、
「企業は何を見ているんだろう」
と考えられていたら、もう少し早く前へ進めたかもしれません。
転職活動の最初の挫折は苦しかったです。
でも、その挫折があったからこそ、自分を客観的に見ることができるようになりました。
そして、自分の経験を見直すきっかけにもなりました。
人生再建の第一歩は、自分を大きく見せることではなく、自分を正しく理解することだったのかもしれません。
この経験から学んだこと
転職活動を始めた頃の私は、「経験があること」と「伝わること」は同じだと思っていました。
しかし実際には違いました。
どれだけ長く働いてきても、相手に伝わらなければ評価にはつながりません。
これは転職だけではなく、人生のさまざまな場面にも当てはまるように思います。
自分では当たり前だと思っている経験ほど、その価値に気づきにくいものです。
だから私は、自分の経験を過小評価するのではなく、「どう伝えれば相手に伝わるのか」を考えるようになりました。
足りなかったのは能力ではなく、伝え方だった。
今はそう考えています。
今振り返ると見えていること
当時の私は、転職市場をほとんど理解していませんでした。
「30年以上働いてきた」という事実と、「企業が求める人材」であることは別問題でした。
これは教員としての経験に価値がないという意味ではありません。
むしろ逆です。
価値があるからこそ、その価値を相手に伝わる形に変換する必要がありました。
ハイクラス転職での挫折は、自分の市場価値を否定された出来事ではありませんでした。
自分を伝える方法を学ぶための最初の授業だったのだと思います。
あの頃の僕へ
不採用通知を見るたびに、自分自身が否定されたような気持ちになっているよね。
でも、本当に否定されているわけじゃない。
まだ相手に伝わっていないだけだ。
30年以上積み上げてきたものが、一枚の応募書類で消えることなんてない。
今は悔しくて仕方ないと思う。
でも、その悔しさは無駄にはならない。
少しずつでも前を向いてほしい。
焦らなくていい。
君が思っているより、人生はまだ長いから。
ああ、人生は、何度でも立て直せる。
何歳からでも立て直せる。
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